BPG001
光合成を担う葉緑体には、独自のゲノムとタンパク質群からなる染色体様構造(核様体)がある。葉緑体の分裂・増殖に先立って、葉緑体核様体は確実に分配されなければならない。今回、その鍵因子を追跡するなかで、葉緑体型ホリデイジャンクション解離酵素を発見した。発端となったのは、我々が約20年前に単離した緑藻クラミドモナスの変異体(monokariotic chloroplast (moc)1)である(図)。この変異体では、葉緑体核様体が凝集し、葉緑体分裂時に不均等分配されてしまう。(A)moc変異体における葉緑体核様体(YFPにより標識されている:矢印)の娘葉緑体への不均等分配。野生株では葉緑体分裂に先立って葉緑体核様体が全体に拡散することで均等分配が実現する。それに対し、moc変異体では、葉緑体核様体が凝集してしまって拡散できず、不均等分配が引き起こされる。Nは細胞核。赤色は葉緑体クロロフィルの自家蛍光。  我々は最新のゲノム情報と遺伝学を駆使し、その原因遺伝子を同定した。さらにその組換えタンパク質について生化学および原子間力顕微鏡をもちいた機能解析を行ったところ、MOC1は緑色植物において高度に保存された葉緑体型ホリデイジャンクション切断酵素であることが判明した(図)。 (B)moc変異体の原因遺伝子は葉緑体型ホリデイジャンクション解離酵素をコードしていた。MOC1組換えタンパク質がホリデイジャンクション解離酵素の活性をもつことを、DNAオリガミにより調整した人工ホリデイジャンクション基質および高速原子間力顕微鏡により示した。上:反応前。中:MOC1組換えタンパク質がホリデイジャンクション中央に特異的に結合した。下:反応後。ホリデイジャンクションが対称的に切断された。  陸上植物シロイヌナズナにおいて、MOC1遺伝子発現抑制は葉緑体核様体の凝集を引き起こし、破壊株は致死であった。以上よりMOC1は、相同組換えにより生じたホリデイジャンクションによる葉緑体DNA分子間の絡まりを解消し、娘葉緑体への葉緑体核様体の遺伝を保障することで、地球上の多くの植物の光合成や葉緑体生合成を支えていることが明らかになった。

コナミドリムシ

横幅
1140
縦幅
855
緑藻植物
緑藻
同国内の場合
京都府
地域
京都大学 吉田キャンパス
撮影年月日
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撮影時刻
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撮影者氏名
小林優介
顕微鏡の使用
使用する
自動撮影装置の使用
使用しない
赤外線の使用
使用する
蛍光プローブの使用
使用しない
時間間隔(秒)
使用しない
速度
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