定員
A時間帯32名(=8名×4コース)、B時間帯32名(=8名×4コース)
8名の高校生で一つの研究室を訪問し、模擬大学講義聴講、化学研究の実験実演見学、化学研究実験の実習などを行います。A時間帯、B時間帯の2回に分けて、異なる高校生(卒業生も)を対象に同じ内容を2回繰り返す方式で実施します。今回の企画に参加する研究室は多様な化学の側面を研究する4つの研究室で、4つの研究室の実施する企画は互いに異なる内容になります。
同一時間帯での4コースへの振り分けは、当日希望を聞いて振り分けます。
予め各自で第一希望、第二希望等を考えておいてください。
定員の都合により、第一希望に沿えない可能性はありますが、その場合は第二希望等、他のコースへ参加してもらう可能性があります。
教室企画概要
高校生向け化学体験教室として下記の4つのコースのうち一つを体験していただきます。
コース1:ノーベル賞の反応を用いた蛍光分子の合成と発光測定
有機化学では、レゴブロックを組み立てるように分子を結合させ新たな分子を合成することが可能です。中でも2010年のノーベル化学賞の「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」は、炭素-炭素結合を容易に形成できる有用な合成法で、私達の研究室でもよく利用します。本体験教室では、このクロスカップリング反応を用い、発光する分子を合成したいと思います。分子構造のわずかな違いで分子の性質は大きく変わります。研究では、様々な分子構造を構築することでより優れた物性を追求しており、そのようなプロセスも体験してもらいます。
コース2:タンパク質の分光実験
タンパク質はさまざまな化学反応により生体内で働いています。タンパク質分子そのものを目で見ることはできませんが、光と分子の相互作用を扱う分光法をもちいて、“スペクトル”を通じてその姿をとらえることができます。このプログラムでは、色をもつタンパク質がもっている色素分子の吸収スペクトルを測定し、その化学反応を調べる実験を行います。また時間があれば、顕微鏡を用いて、細胞内でのタンパク質発現の観察の体験をします。
コース3:リン化物磁性体、酸化物超伝導体の物性
遷移金属酸化物やリン化物の中には金属的性質を示すものがあります。これらは温度を下げることで磁性体(磁気秩序状態)または超伝導体へと転移する性質を持っています。本体験教室では、約−140℃で強磁性体(磁石)になるランタンコバルトリン化物、および約−180℃で超伝導体となるイットリウムバリウム銅酸化物を用い、室温(約20℃)および液体窒素温度(−196℃)でのそれぞれの物質が示す物性の違いを観察します。さらに時間が許せば、無機化合物合成装置の見学や走査型電子顕微鏡を用いた観察も予定しています。
コース4:レーザー分光法で見る生命の分子世界
生命機能はタンパク質をはじめとする生体分子によって精密に制御されており、その仕組みを解き明かすことは現代科学の重要なテーマの一つです。本オープンキャンパスでは、光を使った先端的な分析手法を体験しながら、生体分子の反応がどのように調べられているのかを学びます。実習では、植物が光に向かって成長する性質(光屈性)を担うタンパク質に注目し、複数のレーザー光を交差させる特殊な方法(過渡回折格子法)を用いて、その構造変化をリアルタイムに検出します。光と生命のつながりを実感できるユニークな実験にぜひご参加ください。