企画名

生命現象に潜む階層を横断する数理的原理の探求

参加教員

教員名 職名 所属
藤定義 准教授 物理学・宇宙物理学専攻
小山時隆 准教授 生物科学専攻
山田道夫 教授 数理解析研究所
松本剛 助教 物理学・宇宙物理学専攻
市川正敏 講師 物理学・宇宙物理学専攻

関連専攻

専攻名  
数学・数理解析
物理学・宇宙物理学
地球惑星科学
化学
生物科学
●:参加教員の専門分野(所属専攻)・学生を募集する主な分野(専攻)
○:学生・教員から希望があれば参加可能な分野(専攻)
 

実施期間(開講曜日・時間等)

年度・期 開講曜日 時間 場所
平成28年度 後期 未定 未定 セミナー部屋、実験室(各研究室の既存の部屋を活用)

企画要旨・目的

細胞集団や生物集団が顕す協同現象を数理的に明らかにすることは喫緊の課題となっている。例えば、細胞集団が全体としてどの様な形態を成すかというのは個体や器官の形成における本質であるが、その全容は未だ明らかになっていない。また、生物集団が顕す協同現象にも、細菌叢などミクロなものから鳥の群れなどマクロなものまであるが、例えば鳥の群れという一見分かり易い課題でも、群れを作る事が空力的に有利である事を流体力学的に示す事には成功していない。この様な課題にあたるには、生物科学と数理科学の両方に深く通じた研究人材の育成や、異なる分野の研究者との密な議論が可能な人材の育成が極めて重要である。

 

問い合わせ先

藤 定義 toh*scphys.kyoto-u.ac.jp
(*を@に変えてください)
 


参加メンバー

氏名 職名・学年 所属
藤 定義(代表教員) 准教授 物理学・宇宙物理学専攻
小山 時隆 准教授 生物科学専攻
山田 道夫 教授 数理解析研究所
松本 剛 助教 物理学・宇宙物理学専攻
市川 正敏 講師 物理学・宇宙物理学専攻
高瀬 悠太 MACS特定助教 生物科学専攻
岡田 全朗 D4 生物科学専攻
大村 拓也 D2 物理学・宇宙物理学専攻
蛭田 佳樹 D1 物理学・宇宙物理学専攻
幕田 将宏 D1 物理学・宇宙物理学専攻
石川 寿雄 M2 数学・数理解析専攻
久保 進太郎 M2 生物科学専攻
上野 賢也 M1 生物科学専攻
荻田 豪士 M1 生物科学専攻
岸 達郎 M1 物理学・宇宙物理学専攻
荻田 豪士 M1 生物科学専攻
小林 沙織 M1 物理学・宇宙物理学専攻
佐藤 道矩 M1 物理学・宇宙物理学専攻
磯田 珠奈子 B4 理学部
中澤 詩風 B4 理学部
平泉 真生 B4 理学部

 


マガン観察合宿(2017年2月10−12日)

早川 美徳氏(東北大学教育情報基盤センター)
 
菅原 研氏(東北学院大学教養学部)
 
マガンの群れ
   

スタディグループ5「生命現象に潜む階層を横断する数理的原理の探求」では、宮城県でマガンの集団運動を観察し、“群れ”というものについて理解を深める合宿を行いました。群れは階層的な生物集団現象の代表例であり、特にマガンは数十固体でV字型編隊飛行という特徴的な群れ形態を取ることが知られています。このマガンの群れの諸相を実地観察し、そのうちの特徴的な振舞いの定量化とそのモデル化方法を学ぶために本合宿を行いました。初日は東北大学にて、東北大学教育情報基盤センターの早川美徳氏および東北学院大学教養学部の菅原研氏のセミナーを拝聴しました。早川氏のセミナーでは、マガンのねぐら入り時の集団運動について、個々のはばたきの協調性から群れの大きさの調節まで、様々なスケールでの動態計測およびモデル化の話をして頂きました。続いて、菅原氏のセミナーでは、「犠牲」に注目したロボットの群れの相互作用から、目的の機能を作り出す話をして頂きました。扱う題材は異なっていましたが、お二人のセミナーを通じて、集団運動研究の第一線に触れることができました。

 

2日目・3日目は宮城県大崎市にある蕪栗沼で「蕪栗沼エコガイドツアー」に参加し、マガンの群れのねぐら入り(夕方)と飛び立ち(早朝)を観察しました。2日目昼過ぎ、ガイドさんからマガンや蕪栗沼の説明をして頂いたのちに蕪栗沼へ行きました。日没近くになると、近くの水田などで餌を食べていたマガンの群れが蕪栗沼へ戻ってきます(ねぐら入り)。前日に早川氏のセミナーで聴いたように、マガンの群れが横一列になって沼へ戻って来る様子には、参加者一同驚いていました。マガンの群れは蕪栗沼で夜を過ごし、早朝、餌を探すために再び近くの水田などへ飛び立ちます(飛び立ち)。こちらは、騒々しい鳴き声と共に大量のマガンが飛び立つ様子に皆心を奪われました。飛び立ち後しばらくすると複数の群れが明確になる様子も観察することができました。(文責 高瀬悠太)