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京大式サイエンスの創り方

 理学研究科では、新しい研究の種を見つけようとする5年間にわたる取り組みを紹介した書籍を出版します。20世紀に入って科学は大幅に進歩しましたが、同時に高度専門化が進み、専門分野間に高い壁ができました。そこでその壁を乗り越えて新しい科学を創り出そうと、理学研究科は立ち上がりました。

 トップダウンで手法やスケジュールを決めるのではなく、自発的に創り出そう、という大らかな視点に立ち、狙えるような小さな成果ではなく、狙ってもできない大きな実りを期待しています。理学研究科では、専門の異なる教員と学生が参加する企画を募集し、高い研究力と教育者としての矜持をもった教員と、探究力旺盛な学生がグループになって、好奇心と自由な発想をもとに活動する、新しい教育プログラムを実践しました。毎年10前後のグループができ、それぞれ思い思いの活動を展開しました。このような参加者の意欲まかせの型破りな教育プログラムですが、いざ実施してみると、参加教員も学生も専門外のことを知る楽しみだけでなく通常の講義や研究活動では味わえない重要な気づきがありました。本書では、複数年にわたって活動をしてきた12人の教員がその様子を紹介しています。本書を通じて新しいサイエンスを生み出すダイナミズムの一端を感じていただけることを願っています。

 この取り組みは、「数理を基盤として新分野の自発的創出を促す理学教育プログラム/Mathematics-based Creation of Science Program」、略称MACS教育プログラムの活動です。この教育プログラム誕生の背景には、理学研究科の教育理念と風土がありました。本書を通じて、小中高大と勉強を重ねていくうちに忘れかけた、先入観にとらわれない科学の心を思い出すことでしょう。

 

 

MACS活動風景
数学など理論系の教員も学生といっしょになって実体顕微鏡でニワトリ胚の観察をしているところ。
専門分野を越えて教員と学生がともに新しいことに気軽に挑戦できるのがMACS教育プログラム。

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