超短光パルスで磁性体中に大振幅テラヘルツ・スピン波を励起

超短光パルスで磁性体中に大振幅テラヘルツ・スピン波を励起

facebooktwitter

2017/11/29更新

-超高速・高効率磁気光学デバイスへ期待-

植田浩明 本研究科化学専攻准教授、佐藤琢哉 九州大学准教授、黒田和男 宇都宮大学特任教授、志村努 東京大学教授、飯田隆吾 同博士課程学生、是枝聡肇 立命館大学教授、藤井康裕 同助教らの研究グループは、海外の研究チームと共同で、フェムト秒光パルスを磁性体に照射することで、従来より高い周波数のテラヘルツ・スピン波を最高効率で励起することに成功しました。

 

本研究成果は、2017年9月21日午後6時に英国の科学誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

 着想して最初の測定をしたのが2008年で、論文掲載まで足掛け9年もかかりました。こつこつ継続した研究の成果が世に出ることになり、喜びもひとしおです。

概要

光を用いた磁性体の超高速制御は、基礎・応用の両面から注目されています。可視光や近赤外光は主に電子の軌道角運動量と相互作用します。しかし、多くの磁性体では軌道角運動量が消失しているため、磁化と光との相互作用は大きくありません。

 

本研究では、軌道角運動量が消失していない酸化コバルトに着眼し、フェムト秒光パルスを用いた大振幅のスピン波(磁化の波)励起を実証しました。また、反強磁性体(内部で隣り合うスピンが互いに反対方向を向き、磁化が相殺されている磁性体)はスピン波の周波数がテラヘルツ帯に達することが知られていますが、反強磁性酸化コバルトはその中でも最も高い周波数を示しました。

 

この結果は、電子スピンを用いる情報技術(スピントロニクス)における超高速かつ高効率な磁気光学デバイス(テラヘルツ放射源、光磁気記録など)の開発につながると期待されます。

測定の配置図