血管収縮因子エンドセリンの受容体初期活性化機構を解明

血管収縮因子エンドセリンの受容体初期活性化機構を解明

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2017/11/29更新

土井知子 本研究科生物科学専攻准教授、東京大学、名古屋大学らの研究グループは、血液循環において局所的な血流の調節を行っている血管収縮因子エンドセリンが細胞膜にあるエンドセリンB型受容体に結合している複合体の構造と、何も結合していない状態のエンドセリンB型受容体の構造を原子レベルで解明しました。この成果は、受容体の構造情報に基づいた高血圧症やがん、アルツハイマー病などに作用する副作用の少ない新たな薬剤の開発に資する成果です。

 

本研究成果は、2016年9月6日午前0時に英国科学雑誌Nature のオンライン速報版で公開されました。

研究者からのコメント

土井准教授、谷一寿 名古屋大学特任教授、志甫谷渉 同博士課程学生

本研究では、構造を変化させて細胞外の情報を細胞内に伝えるGタンパク質共役 型受容体について、その構造変化の一部分を解明することができました。阻害剤結合 型や完全活性型構造についても研究して、受容体タンパク質の構造変化の全容を理解 したいと考えています。解明できた構造情報に基づいて、選択的に受容体を活性化あ るいは阻害できる小分子リガンド化合物を設計することは、副作用の少ない有効な新 規薬剤の開発を促進します。

本研究成果のポイント

  • 血管収縮因子エンドセリンと結合した受容体の構造を解明
  • この受容体がエンドセリンと結合していない状態の構造も解明
  • これらの立体構造を基盤とする新たな薬剤の開発が期待される。
 

概要

生物は時間を測る体内時計(概日時計)という約24時間周期のリズム(概日リズム)発振機構を備えており、地球の自転に伴う昼夜サイクルに適応しています。概日時計を構成する遺伝子は個々の細胞で機能するため、個々の細胞が時計として働きます。しかしながら、植物内における細胞の遺伝子発現を個別に測定することは非常に困難であり、細胞レベルでの概日時計の性質はよく分かっていませんでした。

 

本研究ではウキクサ植物を材料として、個々の細胞における遺伝子発現リズムを可視化する技術を開発し、細胞レベルから概日時計の挙動を解明することに成功しました。その結果、連続明のような昼夜のない条件では、個々の細胞のリズム周期は不安定であり、細胞間でリズムは徐々にずれていくことが明らかとなりました。

 

一方、昼夜のある環境下では植物細胞の概日時計は秩序正しく時刻の空間パターンを形成することを発見しました。この空間パターンは、昼夜のない条件でみられたアバウトな時計の性質を一掃することで形成されると推察されます。このことから、植物の概日時計は昼夜のある環境下で初めてその実力を発揮すると考えられました。

 

昼夜の有無によって植物の時計の状態が大きく異なることを明らかとなりましたが、今後、このような劇的な変化を可能とする仕組みを解明することを目指します。

エンドセリンが受容体(青)と結合している複合体構造