ニュートリノの「CP位相角」を大きく制限
-粒子と反粒子の振る舞いの違いの検証に大きく前進-

ニュートリノの「CP位相角」を大きく制限
-粒子と反粒子の振る舞いの違いの検証に大きく前進-

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2020/06/03更新

研究業績成果の概要

今回の観測結果と最も良く合うCP位相角の値(赤矢印)と99.7%信頼度で値をとることが許された範囲(白抜き部分)。理論的に取り得る値の範囲の半分近くを排除しました。

 

 
 


 

T2K実験国際共同研究グループは、ニュートリノが空間を伝わるうちに別の種類のニュートリノに変化するニュートリノ振動という現象において「粒子と反粒子の振る舞いの違い」の大きさを決める量に、世界で初めて制限を与えることに成功しました。CP位相角と呼ばれるこの量は、ニュートリノの基本的性質を示す量の一つであり、理論的には-180度から180度の値を取り得ますが、これまで全く値がわかっていませんでした。今回の結果では、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCで大量に生成されたニュートリノを295キロメートル離れた岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデ検出器で観測することにより、ニュートリノ振動の現象を精密に測定し、CP位相角の取り得る値の範囲の約半分にあたる-2度から165度の領域を99.7%(3シグマ)の信頼度で排除することに成功しました。ニュートリノについての未解明の問題の一つである、粒子と反粒子が異なる振る舞いをするかどうかという問題に大きく迫る成果です。
この研究成果は、総合学術雑誌「ネイチャー」に4月16日掲載されました。

T2K実験は、世界12か国約500名の研究者からなる国際共同研究グループにより行われており、研究グループ代表の市川温子准教授、中家剛教授、ロジャー・ウェンデル准教授、木河達也助教をはじめ京都大学理学研究科高エネルギー物理学研究室も主力となって参加しています。 
 
詳しくは
https://www.kek.jp/ja/newsroom/2020/04/16/0000/
http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/news/8798/
をご覧ください。
 

書籍情報

DOI:10.1038/s41586-020-2177-0