数学・数理解析専攻 尾高悠志 准教授が日本数学会賞春季賞を受賞

数学・数理解析専攻 尾高悠志 准教授が日本数学会賞春季賞を受賞

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2020/03/17更新

数学・数理解析専攻 尾高悠志 准教授が2020年度日本数学会賞春季賞を受賞しました。

 

受賞者
尾高 悠志 氏(数学・数理解析専攻 准教授)

 

業績題目
「K安定性とその代数幾何的応用」
(英訳:K-stability and its algebro-geometric applications)

 

研究の分野的背景

代数幾何学の分野では伝統的に日本の多くの研究者が活躍してこられた。代数多様体を統制する多項式の係数を変化させると空間が変形するが、そうして得られる空間すべての同型類の地図がモジュライ空間である。19世紀Riemannにより垣間見られた代数曲線のモジュライ空間には多くの分野と関わる深い構造が見つかってきた。以来,代数曲面以上の高次元代数多様体にその理論を拡張する問題があり、様々な進展がある。

  

研究業績成果の概要

受賞者は、元来微分幾何における「曲がり方が弱い意味で一定という標準的な計量」の存在問題に端を持つK安定性と、より代数幾何学的な話題、即ち上述モジュライ空間(“K-moduli”)やそのコンパクト化、森プログラムに基づく双有理幾何学の諸理論との関連に気づき、その基盤理論作りに携わった。これらは60年代の幾何学的不変式論によるアプローチを「無限次元版」に改良する流れの一端ともいえよう。また数論幾何学の一分野であるアラケロフ幾何学の枠組みに基づいて、K安定性の理論を数論的に捉え直し、主要予想(Yau-Tian-Donaldson予想)の数論化やその部分結果も示した。

その後これらは様々な方の活躍により更に発展していっている。受賞者はより最近では、標準計量の崩壊やトロピカル幾何学、ミラー対称性、局所対称空間論、非アルキメデス幾何学等と深く絡み合ったモジュライ空間の新種のコンパクト化に関わる研究も行っている。

  

研究者コメント

過去の受賞者一覧を見て大変恐縮しました。誠に光栄です。

研究では先のわからない中手探りで進んできましたが、わかってから振り返れば、当然ないしとても牛歩に感じ時折落胆もします。最近はすぐウェブですら解説等見られて便利ですが、今後も見えない美を嗅いで隠れた真実を追いたく、湯水のように時間をかけて参ります。また長い風景を楽しむ気持ちでそこに立てば、年齢や立場を超えてどこか皆対等に、人知を超えた美しい何かに相対していると信じ、今後一層研究に励んで参りたい所存です。

  

授賞式は、2020年度秋季総合分科会以降の学会で開催される予定です。

 

2020年度日本数学会賞春季賞
https://mathsoc.jp/publicity/spring2020.html