目次


開催案内

日時

2021年4月23日(金)15:00〜17:40

 

開催形式

Zoomオンライン会議

参加登録:https://forms.gle/rzGRtks1pLgQoFL6A

 

プログラム

15:00〜16:00

第15回MACSコロキウム

「機械に認識させるとはどういうことか」

石川 博 博士(早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 情報理工学科)

講演者は計算機に視覚を与えたいが、それはいったい何をすることなのかがよく解らない。数学の一つの特徴は、何について何を言っているのかよくわかることである。そのため現実の問題を数学的にうまく定式化すると、本質を捉えて多くの問題を解決することができるが、最初の定式化が難しい。視覚には多くの一面的な定式化が存在するが、それさえ最近まで解けなかった。講演では視覚がなぜ難しいのかということから始めて、最近起こったブレークスルーと、それでも残された問題について紹介したい。

16:05~17:40

 

2021年度MACS学生説明会

16:05〜17:00 スタディグループ2021の代表教員・参加教員による企画説明(各5分程度、順不同)

 

・データ同化の数理と応用:理論モデルとデータをつなぐデータサイエンス

代表教員:坂上 貴之(数学・数理解析専攻)

・XRで見る・3Dで触る先端科学

代表教員:稲生 啓行(数学・数理解析専攻)

・本物を見て考えよう!:脊椎動物の胚観察から数理の可能性を探る

代表教員:高瀬 悠太(生物科学専攻)

・自然科学における統計サンプリングとモデリング:数理から実践まで

代表教員:林 重彦(化学専攻)

・理化学研究所と MACS を繋ぐパイプライン

代表教員:小林 俊介(数学・数理解析専攻)

・自然界に見られる大きさと時間を見比べる

代表教員:小山 時隆(生物科学専攻)

・疾患における集団的細胞挙動の数理モデルの開拓

代表教員:Karel Svadlenka(数学・数理解析専攻)

・コンピュータでとことん遊ぶ

代表教員:藤 定義(物理学・宇宙物理学専攻)

・理学におけるデータ科学:理論と実践

代表教員:中野 直人(理学研究科 連携講師)

・自然放射線の時系列データを読み解く

代表教員:藤井 俊博(京都大学 白眉センター・理学研究科)

・生命流体×流線トポロジーデータ解析(TFDA):生命のつくる流れとトポロジー

代表教員:坂上 貴之(数学・数理解析専攻)

 

17:10〜17:40 各スタディグループの個別説明(Zoomブレイクアウトルーム)

※スタディグループ(SG)参加対象:

主に理学部・理学研究科の学生が参加対象です。それ以外の学生の登録も可能ですが, 参加希望者多数の場合は調整の可能性があります。

 

今年度のSGの情報は以下のHPから得ることができますので参考にしてください。

http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/academics/programs/macs/sg/sg2021/
 

備考

◎本コロキウム・説明会は理学部・理学研究科の学生・教職員が対象ですが、京都大学の方ならどなたでもご参加いただけます。
◎問い合わせ先:macs * sci.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)


講演動画

『機械に認識させるとはどういうことか』石川 博氏

 


開催報告

 2021年度初回である第15回MACSコロキウムでは、石川博 博士(早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 情報理工学科)に「機械に認識させるとはどういうことか」というタイトルで講演していただきました。

 講演は、視覚の難しさの解説から始まりました。私たち人間は写真や2D画像を見てもそれを3次元的に正しく捉えられます。しかし本来、画像の3次元的な捉え方には無数の解釈が存在するため、正しい解釈を選ぶのは非常に難しいはずです。実は、人間の脳(視覚)は「予想」を持って画像を解釈しており、この予想が画像の正しい解釈を導き、時に錯覚や錯視を引き起こしています。これらのことから、機械に画像を正しく認識させる(=機械が視覚を手に入れる)には、機械の中に事前予想(事前確率分布)を作る必要があるわけです。続いて、機械による画像認識の歴史について説明されました。入力された特定の特徴をもつ物体を認識させる「特定物体認識」は以前からできていたそうですが、物体の特徴そのものを自己学習させた上で物体を認識させる「一般物体認識」は近年の第3次AIブームまで困難だったようです。この第3次AIブームによって、膨大なデータ計算が必要な深層学習(人工ニューラルネットワーク)が実現されるようになり、自己学習による事前予想に基づいた、犬と猫を区別する・白黒写真をカラー化する・部分欠損した画像を補完する、等の一般物体認識ができるようになってきたとのことです。講演の最後は、深層学習の今後の課題として、1) 学習データが大量に必要なこと、2) 人工ニューラルネットワークの構造設計の指針が不十分なこと、3) どうやって高性能な事前予想が実現されるのかが分からないこと、の3点について解説されました。特に3点目に関しては、深層学習による事前予想の導き方を理解するために、関数族に基づいた構造の言葉で問題を設定した上で解(アルゴリズム)が考えることが重要であると説明されました。講演後の質疑応答でも、機械学習・深層学習の現状や今後の発展性などについて様々な議論で盛り上がりました。
(文責:高瀬悠太)