研究紹介『代数多様体の双有理分類論』

研究紹介『代数多様体の双有理分類論』

数学・数理解析専攻・教授 藤野 修

 
 

私は高次元代数多様体を研究しています。大雑把に言うと、代数多様体とは有限個の多項式の共通零点集合として定義される幾何学図形のことです。代数多様体の研究の歴史は長く、19世紀のリーマンによるリーマン面の研究、19世から20世紀にかけてのイタリア学派による代数曲面論などが古典として知られています。20世紀中頃にはグロタンディークを中心に代数幾何学の基礎が徹底的に刷新される一方、小平による複素解析曲面論やモスクワのシャファレビッチ一派による曲面論など、古典の現代化が行われました。1960年代に入ると広中によって特異点解消定理が証明され、一般次元で代数多様体の双有理分類を論じる準備が整いました。1970年代の飯高による飯高プログラムを経て、1980年代以降は森による森理論が高次元代数多様体の双有理幾何学の標準理論となっています。20世紀後半には3次元代数多様体の双有理分類論が華々しく発展しました。私はその大発展後の冬の時代に代数多様体の双有理分類の研究を始めました。当時はできそうな問題は残っていない分野などと言われていたようですが、数学の最先端の研究の流行を理解していなかった私は代数多様体の双有理分類論にはまってしまったのです。21世紀に入ると大方の予想に反して再び大発展が始まり、4次元以上の高次元代数多様体の双有理分類論が劇的に進歩しました。私もささやかながらこの大発展に貢献できたと自負しております。私が研究を始めた当時は、若い研究者の数は少なく、ライバルが皆無のパラダイスだったのですが、最近は海外の若手がたくさん参入するようになりました。研究は益々加速しております。まだまだ研究することは尽きないので、これからも代数多様体の双有理分類の完成を目指して頑張って研究していきたいと思います。