名誉教授随想『近況報告』

名誉教授随想『近況報告』

元数学・数理解析専攻(数学系)所属・名誉教授 松木 敏彦

 
 

8年前に早期退職し、私立大学で文系学生の教養の数学を教えています。着任当初は準備が大変でしたが、最近は学生の要望に合わせて快適にやっています。代数・幾何・微積分・確率統計など様々な科目を提供していると、結構リピーターの学生がいてうれしいです。単に、楽勝科目だからなんですけど。

 

2年前から「数学入門」というタイトルで300人ほどのクラスで初等幾何と解析幾何をやっています。内容は、作図・証明問題・三角比・円周角など極めて初等的です。シラバスには最後の1回に非ユークリッド幾何入門と書いていますが、学生のレベルを考えるととても無理な話です。ただ、数学の専門家としては完全に平行線公理を理解しているわけですから、その辺の解説に関しては気合の入った授業をしています。文系の学生諸君にとっては、教養教育は専門家による話を聞ける最初で最後の機会ですので、何かを感じることができればそれでいいのではないでしょうか。少なくとも、黒板に円を描いたりして体を動かす授業ですので、私自身の健康管理にいいことだけは確かです。

 

教養担当者は学部に分属していて、私は文学部所属になっています。学会発表とか科研費申請のときに使うととても目立ってよいです。私立大学のよいところは春休みと夏休みにまとまった研究時間が取れることです。この8年間好きな研究に専念できました。退職まであと3年ですが、今後も趣味の数学ができれば有難いです。