研究紹介『太陽型恒星のスーパーフレア』

研究紹介『太陽型恒星のスーパーフレア』

宇宙物理学教室・准教授 野上 大作

 
 
野上准教授
 

太陽は莫大な光と熱を発し、地球上の生物は全てその恩恵を受けて生きている。しかし、時に太陽は我々に甚大な被害を及ぼす。太陽表面での大爆発をフレアという。このフレアによって磁力線や太陽表面の電離ガス(プラズマ)が放出され、宇宙空間を飛んでいき、 地球磁気圏にぶつかることがある。その結果として磁気嵐が起こり、電波による通信が途切れたり、巨大な誘導電流のために送電網が破壊され、大規模な停電が起こったりすることがある。

 

太陽フレアはエネルギーが大きなものほど頻度が小さくなる傾向がある。これまでのフレアでエネルギーの最も大きなものは10の25乗ジュール程度で、数十年に一度程度の頻度とされている。しかしこれは近代的なフレアの観測が始まって以来、百年程度の調査結果によるものである。ではもっと長期的なスパンで見れば、もっと大きなフレアは起こらないのだろうか?

 

どうもスーパーフレア(ここでは最大級の太陽フレアの10倍以上、即ち10の26乗ジュール以上のエネルギーのフレアを指す)が起こってもおかしくない、というのが、最近の我々のグループの研究成果の示すところである。ある領域の15万個以上の恒星について、約30分の時間間隔で長期間にわたって精密に明るさを記録し続けるというケプラー宇宙望遠鏡の公開データを解析したところ、約8万個の太陽に似た恒星の約500日間のデータから、約300個の星で合計約1500回のスーパーフレアを見つけたのである。統計的な解析の結果、10の28乗ジュール(過去最大級の太陽フレアのエネルギーの1000倍!)のフレアが5000年に一回程度の頻度で起こるということになった。こんなスーパーフレアがもし本当に太陽で起これば、地球文明が甚大な被害を受ける可能性がある!

 

さらに、すばる望遠鏡などを使ってスーパーフレアを起こす星を調べたところ、どうも太陽と同じようにある程度年をとって自転が遅くなり、活動性が低下していると考えられるような星でも、巨大な黒点が存在しさえすればスーパーフレアは起こるらしい。

 

ではどういう時に巨大黒点が発生するのだろうか?何か予兆現象はないのだろうか?スーパーフレアを起こすメカニズムは?これらの謎を解き明かすには、これからの地道な観測の積み重ねが必要である。

 

現在我々は、岡山県に3.8mもの口径を持つ望遠鏡を作るプロジェクトを進めており、2017年度に初観測を行うことを目指している。このプロジェクトの大きな目的の一つが、スーパーフレアの解明である。これからの我々の研究が、人類の未来を左右するかもしれない!?是非期待していてほしい。

 
写真:スーパーフレアを起こしている太陽の想像図。大きな黒点があり、白色光で大爆発が観測されると考えられる。