津波起源の電磁場の海底観測により地震断層の傾斜方向を推定

津波起源の電磁場の海底観測により地震断層の傾斜方向を推定

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2017/11/29更新

藤浩明 本研究科地磁気世界資料解析センター准教授らの研究グループは、深海底に設置した電磁場観測装置により地震津波に伴う電磁場変化を検知し、それを基に津波を発生させた地震の断層傾斜を推定しました。

 

本研究成果は6月29日付けで、Nature Publishing Groupのオープンアクセス誌Scientific Reportsに掲載されました。

研究者からのコメント

本研究によって、地震学に対する津波電磁場の有効性が確かめられたと考えられます。しかし、この研究で用いた三次元津波電磁場計算法は、非一様導体近似を周波数領域で適用した後、データと比較する際にその結果を時間領域に逆変換するというやや煩雑なものでした。今後は、時間領域における津波電磁場の三次元直接解法の開発が行われる予定です。また、津波が作る電磁場を利用した津波予測や早期警戒への応用が期待されます。

概要

地震波を使った地震断層パラメータの推定では、断層の向きは決められても断層がどの方向に傾斜しているかについては地震波の解析だけからは決定できない場合もあります。そういった場合には、事後に余震分布などを見ながら断層傾斜を確定していくことになります。

 

一方、震央が海域にあると、地震に伴い津波が発生する時がありますが、本研究グループでは、地球磁場のような弱い磁場の下であっても、導電的な海水が津波に伴って一斉に運動することで有意な電磁場が発生することを世界で初めて検出しました。検出した津波電磁場は,津波の到来方向や波高、押し波/引き波の別,分散の有無などさまざまな津波に関する情報を含んでいることが、分かりました。

 

そこで本研究グループは、新たに発見されたこの津波電磁場が津波を引き起こした地震の震源情報解明に役立てられないかと考えました。津波電磁場の発見以来、その二次元計算は既に可能になっていましたが、本研究では多くの津波に対して電磁気的には海洋が十分薄いと仮定できることに着目し、非一様薄層導体近似を適用して津波電磁場の三次元計算を可能にしました。また、既存の津波計算法を改良し、津波の位相速度が周期に依存する性質(津波の分散)を効率良く取り入れられるようにしました。

 

その結果、2007年1月に千島海溝海側斜面で発生した分散性津波に伴う津波電磁場を説明するには、対応する津波地震の断層傾斜が「北西落ちではなく、南東落ちでなければならない」ことを、海底で観測された津波電磁場データを用いて実証しました。

 

本研究グループは、津波が地球磁場とのカップリングにより観測可能な電磁場を発生させる事を2011年に発見していましたが、今回の研究により津波電磁場が地震の震源パラメータの推定にも役立つ事が示されました。

 

今後は、津波電磁場によっても有効な津波予測や早期警戒ができるようになると考えられます。

図:(上)地震断層の傾斜モデル。どちらの方向に傾斜しているのかは、地震波の解析でも決めにくいが、今回の研究では地震が発生させた津波に伴う電磁場を検出する事により、南東傾斜だと推定。
  (左下) 2007年1月に発生した津波地震の震央(赤い☆印)と海底電磁場観測点(黄色い△印)。赤△は、最寄りの海底圧力観測点。
  (右下)北西落ちと南東落ち断層それぞれが作った津波による磁場鉛直成分のデータ(黒点)との比較。残差自乗和は、南東落ちの方が半分以下と小さい。
 

詳細は、以下のページをご覧ください。