中務真人 本研究科生物科学専攻教授が共同代表を務めるケニアと日本が中心となった国際チームは、大地溝帯の断層崖上に位置するナイロビ郊外のカンティス(高度1700m)において、初めて大地溝帯以東から猿人化石を発見しました。

 

本研究成果はJournal of Human Evolution(人類進化学雑誌)5月号に掲載されました。

研究者からのコメント

中務教授

ケニアでは、半世紀以上、大地溝帯の乾燥地域で人類化石の探索が行われています。その首都で猿人化石が見つかるとは、誰も予想していませんでした。他の鮮新世化石産地と異なる特性から、カンティスは、研究上貴重な遺跡であると同時に、首都近郊という立地条件から、同国の教育・観光面において、非常に大きな可能性をもちます。残念ながら、ナイロビにおける近年の急速な宅地開発が遺跡の近くに迫っており、遺跡の保存が喫緊の課題です。

概要

東アフリカに位置するエチオピア、ケニア、タンザニアは鮮新世人類化石の産地として知られていますが、それら全ては、都市から隔絶し、乾燥したアフリカ大地溝帯の内部にあります。ケニアと日本が中心となった国際チームは、大地溝帯の断層崖上に位置するナイロビ郊外のカンティス(高度1700m)において、初めて大地溝帯以東から猿人化石を発見しました。化石産出層の年代を放射年代測定と古地磁気により350万年前と決定し、化石の特徴からアウストラロピテクス・アファレンシスと同定しました。4点の化石から、少なくとも成人男性1人と乳児2人の存在が確認されました。

 

1995年にチャドで猿人化石が発見され、猿人の分布がアフリカ中部に広がっていた事が明らかになりましたが、同様に大地溝帯を越えて東部に広がり猿人が棲息していた可能性が示された点はきわめて重要です。また、ケニアの南部地域で猿人化石の発見は初めてであり、カンティスは、エチオピアからタンザニアにいたるアファレンシス猿人の分布の空白域を埋めたことになります。

発見された化石
 

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