京大ウィークスは、「京都大学の窓」として親しまれている全国各地域の教育研究施設を一挙公開するイベントです。

 

2019年10月5日(土)から7日(月)に、京大ウィークス事業の一環として、「飛騨天文台 自然再発見ツアー」が開催されました。

 

このツアーは、高校・大学を出てから時を経て、普段自然や科学からは疎遠な生活を過ごしがちな社会人の方々に、北アルプスや街明りの無い星空をはじめとする美しい自然に囲まれた飛騨天文台と、その周辺の山河を訪ねていただき、宇宙や自然の偉大さ、面白さを科学的な視点から再発見して頂くことを目的とした企画です。

 

初日は日没直後に飛騨天文台を訪問し、アジア最大の口径65cm屈折望遠鏡で木星、土星、月などの天体を観望して頂くことにより、惑星や衛星、さらに太陽系の成り立ちについて考えて頂きました。

 

1日目、飛騨天文台 65cm屈折望遠鏡による天体観望。

翌日は日の出前の早朝4時から再度飛騨天文台にお越しいただき、月が沈んだ後の満天の星空や天の川、黄道光などを観察して頂く予定でしたが、残念ながらこの時間帯は雲が多く、黒河名誉教授による飛騨天文台の歴史や惑星・太陽に関する研究の概要についての講義をお聴き頂きました。

 

2日目、飛騨天文台での黒河名誉教授による講義。

その後、日が昇ってからは次第に晴れ間も出、ドームレス太陽望遠鏡(DST)や太陽磁場活動望遠鏡(SMART)により、太陽表面やプロミネンスの構造の観察、およびそれらの光を七色のスペクトルに分解した際の見え方を観察して頂きました。

 

2日目、飛騨天文台 ドームレス太陽望遠鏡による太陽表面の観察。

 

2日目、飛騨天文台 ドームレス太陽望遠鏡による太陽光スペクトルの観察。

 

また、それらを観測することにより、太陽や天体のガスの成分や運動をどのように定量的に調べることができるのかや、太陽と地球との関係、歴史についても考察して頂きました。

 

この日の午後は飛騨天文台を離れ、近隣にある福地化石館や平湯大滝などを訪れて頂き、飛騨地方の地質学的歴史に触れて頂きました。

最終日は、まず乗鞍岳に上山して頂き、高山植物や地層・岩石の様子を観察。 その後、 飛騨大鍾乳洞を訪れて2億5千万年前の海底が隆起してできた鍾乳石や洞窟の様子を観察して頂き、飛騨地方の地質鉱物学的特徴を学んで頂いて、ツアーは無事終了いたしました。

 

飛騨大鍾乳洞内の様子。

 

参加された方々からは、太陽と地球、そして我々生命が、それらが形成された時代から現在に至るまで、様々な面で密接に関係していたことに改めて気が付かされ、宇宙や天体を急に身近に感じることができるようになった、などと言った感想を頂きました。

 

京都大学理学研究科附属飛騨天文台 自然再発見ツアー【京大ウィークス2019】
http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/news/detail_1294.html