脳という小宇宙

脳という小宇宙

スレヴィン大浜華

 

 私たちの脳は、千数百億個もの細胞でできています。銀河系に存在する星の数、約2000億個にせまる多さです。学習や記憶、感情、運動などの機能は、多くの神経細胞が協力して働いて、複雑な情報伝達ネットワークをつくることで実現しています。

 

 情報伝達は、個々の細胞内を伝わる電気信号と、細胞間の分子のキャッチボールによって行われています。分子は、細胞間にある数万分の1ミリほどのすき間、シナプスでやりとりされます。神経細胞の中には数万個のシナプスを持つものもあります。無数の細胞が、たくさんのシナプスを介して複雑で秩序だったネットワークを作り上げているのです。

 

 分子のキャッチボールがうまくいかないと、困ったことが起こります。例えば、不安障害の症状のひとつは、脳のある部位でセロトニンのキャッチボールに問題が生じることで起こると考えられています。なぜ問題が生じるのかは分かっていませんが、キャッチボールを助ける治療薬はあります。

 

 治療薬は、分子生物学や遺伝学、コンピューターシミュレーションなどを駆使して開発されています。例えば、細胞表面でセロトニンを受け取るタンパク質と、治療薬候補の結合シミュレーションは、新薬の開発に役立てられています。

 

 脳の働きは複雑で、分かっていないことがたくさんあります。より副作用の少ない治療薬をつくるためにも、情報伝達ネットワークの全容を解明することが必要です。皆さんも、大学で脳という小宇宙を探検してみませんか。