波で見る

波で見る

竹村 毬乃

 

国土交通省はテロ対策のため、国際線が就航しているすべての空港で「ボディスキャナー」を設置することを決めた。ボディスキャナーの中を通ると衣服の下に隠した刃物や銃、薬物などを検出できるので、各国の空港で導入が進んでいる。既に関西国際空港などで試験運用がなされた。

 

電磁波は波長の大きさでラジオ波、ミリ波、可視光、放射線など様々な種類に分けられ、ボディスキャナーはその中のミリ波を照射する。ミリ波の波長は、衣服の繊維は簡単にすり抜けてしまうが、水を多く含む人体は通り抜けられない大きさである。だからボディスキャナーを通ると体の表面でミリ波が反射し、さらに密度の高い金属や粉末を入れた袋などは反射の仕方が変わるため、検知できるという仕組みだ。似たような仕組みのものにレントゲンがあるが、X 線(放射線)はとても波長が短く大きなエネルギーを持つため被曝の心配がある。一方、ミリ波は波長が長くエネルギーが小さいのでその心配はない。

 

電磁波は波長によって様々な性質を持つことを活かして、私たちの身近なところで使われている。例えば携帯電話の通信はマイクロ波の、こたつで温まるのは遠赤外線のお陰だ。実は、ミリ波はその性質上扱いが難しく、近年研究が進んでようやく社会に応用されるようになったという歴史がある。基礎研究から技術開発までは長い道のりだが、研究者が地道に実験を続け、国や企業がそれを支えたからこそ結びついた成果だ。