DNA の損傷修復機構

DNA の損傷修復機構

橋谷 文貴

 

DNA はアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4 種類の塩基の並び方でタンパク質の作り方等を指示しており、4 つの文字だけで書かれた生命の設計図であるといえます。DNA の塩基が外れてしまうことや化学的に変性して別のものに変わってしまうことをDNA の損傷と呼びます。私達の体はDNA に指示されたとおりに作られるため、DNA の損傷は放っておくと大変なことになります。このため損傷を受けてもすぐに修復がされるような仕組みが備わっています。

 

実はDNA の損傷は日常的に起こっており1 つの細胞につき1 日あたり50,000 から500,000 回の頻度で発生していると言われています。これらの大半は太陽からの紫外線が原因で主にグアニンやチミン塩基が損傷を受けます。ところでDNA の塩基は、アデニンはチミンと、グアニンはシトシンとそれぞれ対を成す性質があり、DNA は互いに対を成す塩基配列をもつ二本で一組となっています。塩基が損傷を受けると塩基同士で上手く対を作ることができずDNA の形が歪んでしまいます。この歪みを修復酵素が認識し損傷を修復します。多くの場合まず損傷を受けた塩基を周辺のDNA ごと除去します。その後除去されたDNA と対になっていたもう片方のDNA を元に除去した部分を新しく作り直します。

 

放射線や化学物質によってDNA の損傷修復が追いつかなくなると細胞は死んでしまうか、最悪の場合癌に変わってしまいます。普段の生活では気にすることのないDNA の修復は私達の生活を維持するために欠かせないものなのです。