竹村 毬乃

 

始業式の日、久し振りに会う友達の中に真っ黒に日焼けした人はいなかったでしょうか。日焼けやシミ、そばかすは皮膚の奥にある『色素細胞』が黒い色素を出すことで起こります。そこでこの色素細胞についての研究が、日焼け止めや美白化粧品に応用するため盛んに行われています。

 

色素細胞は見た目が風変わりな細胞で、多くの突起を伸ばしたアメーバのような形をしており、皮膚の奥深くにいます。紫外線の刺激が色素細胞に届くと、色素を含んだメラニン顆粒が周りにいる角化細胞へ輸送されます。これらのメラニン顆粒は角化細胞の中で核の近くへ移動するのですが、この時紫外線の入ってくる方に偏って、まるで核に帽子をかぶせるように局在するのです。紫外線がメラニン顆粒内の黒い色素に吸収されてしまえば、その奥にいるDNA が傷つけられることはありません。メラニン顆粒はDNA に最も近い核のそばで、DNAを守る役割を果たしていると考えられます。

 

しかしどのようなメカニズムでメラニン顆粒が作られ、移動するのかについてはまだ明らかになっていません。このメカニズムが解明されれば、皮膚の黒ずみを防止する方法を編み出す手がかりとなるでしょう。

 

実際に大学と企業が協力して様々な側面から色素細胞についての研究が進んでおり、効果の高い化粧品などが次々と開発されています。細胞の研究が実社会に活かされている好例です。