発生生物学

発生生物学

竹村 毬乃

 

ヒトの場合、たった0.1mm の受精卵が最終的に約1.5m の身長にまで成長し、複雑な臓器を形成する。このことを不思議に思ったことはないだろうか。私は高校の生物の授業で発生生物学に出会い、自分がどのようにして出来てきたのかという疑問にぶつかり、以来勉強し続けている。

 

個体が形をつくる時には分化という現象が鍵になる。受精卵が分裂し多細胞になると細胞が互いにシグナルを出し始め、受け取ったシグナルによって各細胞で遺伝子のスイッチが切り替わり、例えば筋肉や皮膚の細胞になるよう運命が決まる。この過程を分化といい、分化の繰り返しであなたの形が作られている。分化のメカニズムを解明し、個体でどのような影響を及ぼすのかを研究するのが発生生物学である。

 

例えば私は腸の神経になる細胞がどのように決まるのかを研究している。腸の神経がうまく形成されないヒルシュスプルング病という病気があり、そのメカニズムを明らかにするために重要な研究である。

 

先行研究から皮膚ではまだ運命の決まっていない細胞が神経になるためのシグナルは血管壁の細胞から来ていることが分かっているので、腸においても同様のメカニズムが働いているだろうと仮説を立てている。ただ腸でのシグナルが何という分子なのかは分からないので候補をいくつか挙げ、シグナルを過剰に投与したりシグナルを抑える分子を入れたときにどのように神経が形成されるかをこれから調べる予定である。