名誉教授随想『理学研究科の中の「国際組織」』

名誉教授随想『理学研究科の中の「国際組織」』

元・附属地磁気世界資料解析センター所属・名誉教授 家森 俊彦

 
 

附属地磁気世界資料解析センターは、 国際学術連合( ICSU)傘下のWorld Data Center (WDC) for Geomagnetism(地磁気世界資料センター)を運営するための組織として、文部科学省により1978年4月に理学部附属教育実験施設として設置されました。それ故、付属施設としての教育と研究の他、国際的データサービスが主要な任務となります。私は、1981年に助手として採用されて以降、37年間勤めさせていただきましたが、教務での負荷に関しては、教室所属の教員に比較すると少なめで、その分、センターの運営に時間を割くことができました。そのため、このような事情を御存知ない教室所属の人から見ると、勝手なことをしていると思われることもあったようです。

 

いちばん好きなのはもちろん研究ですが、データサービスからもさまざまなヒントを得て研究と教育に生かすことができよかったと思っています。また、データサービスが契機となって国際学会の実務的な委員を務めたり、科学データ全般を主題とする国際会議に出席することにより、最新の国際的動向に接することができました。そのため、例えば、データサイエンス、オープンサイエンス、オープンデータというような言葉は、欧米に比べ5年以上遅れてようやく一般的になってきたように感じます。このような場所で得た知見は、地磁気センターの活動に生かすことはできましたが、今振り返ってみると、もっと早くから意識的に学内での活動に生かすべきであったと、多少悔やまれます。昨年11月には、研究データのマネージメント環境整備やデータに関する教育と意識改革などを進めるための調査・研究を目的とした「京都大学アカデミックデータ・イノベーションユニット」が設置されましたが、これも国際的動向からは、5年以上前にできてもよかったという気がします。研究と教育に直接的には役立たなくても、このような活動にも時間を割いて汗を流すことは、英語の苦手な私にとってはしんどいけれども価値があったと考えています。