名誉教授随想『退職後の雑感』

名誉教授随想『退職後の雑感』

元物理学・宇宙物理学専攻(物理学第二分野)所属・名誉教授 國廣 悌二

 
 

編集部の要請にしたがい、まず、退職後の近況報告をさせていただきます。最初の一月半は研究室の片づけでした。最初、研究室の壁いっぱいの本とファイルその他の荷物、それをあの狭い自宅に収納するのか、と思うと方針も立たず途方に暮れました。さらにいくらやっても終わりそうにない作業にうんざりしながらも、本を半分ぐらい理学研究科図書館に寄贈などし、結局、自宅に持って帰る本は段ボール箱3箱ぐらいに収めました。大量の論文のコピーはすべて廃棄し、院生時代や前任校時代の昔の計算ノートなども一部は便利な連続スキャンで処理しかなりの量を廃棄しました。連続スキャンができるスキャナーの便利さには感謝しかありません。パソコンの廃棄作業も院生に手伝ってもらいながら行い、片付け作業が終わりました。

 

片付けをしながらも、また、特に片付け終了後は、論文を読んだり自分の計算をしたり共同研究者との議論をしたり、はたまた国際会議に参加したりと自分のペースで自由に時間が使えるこの生活に幸せを感じています。朝起きてその日の講義やゼミ、会議などのスケジュールを確認する必要のない解放感!退職にあたって多くの人から「おめでとうございます。」と声を掛けられたその「めでたさ」を今まさに実感しています。

 

ニュースを見ると執拗な文科省からの「大学改革」、そして、一方で、その文部官僚の腐敗ぶりが報道されています。「改革案」は私には教育や研究への洞察を欠いたピンボケの無責任な「改革案」にしか見えません。独法化をはじめこの間の高等教育・研究に関する「改革」は愚策の例として世界史に残るのではないでしょうか?私自身は、現役のみなさんには心苦しいのですが、「何とかぎりぎり逃げおおせたか?」、との無責任な感慨を抱きつつあまり強くない心臓あたりを撫でている今日この頃です。